世田谷・経堂の老舗和菓子店「亀屋」。三代目の舘野さんが守り続けるのは「思い出に寄り添うお菓子」という理念です。江戸時代から続く技を受け継ぎながらも、現代の設備や需要に合わせて柔軟に進化を続ける亀屋の和菓子は、地域の人々の暮らしに深く根付いています。看板商品「招福もなか」をはじめ、季節や行事に合わせた和菓子は、どれも素材と製法へのこだわりが詰まった逸品です。伝統の技を受け継ぎながらも、進化を続ける亀屋の和菓子は、新旧の住民が混在する世田谷の街並みそのもの。特別な美味しさと温かな思い出を求めて人々が集う、和菓子の名店をご紹介します。
思い出に寄り添うお菓子を
経堂のすずらん通りに店を構える亀屋。現店主 舘野貞俊さんのおじい様に当たる舘野貞助さんが、江戸時代から続く老舗「亀屋近江大掾」で修行を積み、暖簾分けを許されて昭和13年に開業。以来、経堂の地に根ざした和菓子屋として世代を超えて親しまれています。
舘野さんは専門学校や他店での修行経験はありませんが、店で働く職人さんの手仕事を見習ううちに自然と和菓子作りの世界へ入っていきました。技は教わるものでなく、差し向かいで作業しながら悟るもの。「私の手には、うちで働いていた3人の職人の技が沁み込んでいるんですよ」と掌を見つめ笑います。舘野さんの和菓子作りは、製菓・製パン屋を営まれていた母方の家系にもルーツが。お母様は「お菓子は嗜好品、美味しいか美味しくないかで選ばれるからこそ、やりがいのある仕事」という言葉をよく口にしていたのだと言います。この言葉が舘野さんの原動力となっています。
そして、亀屋のキャッチフレーズは「美味しさ、幸せ、みんないっぱい亀屋のお菓子」。「あの時、みんなで亀屋のお菓子を食べたよね」。そんなお客様の思い出に寄り添うお菓子を作りたい、幸せを届けたいという思いで日々の仕事に取り組んでいます。
地元にちなんだオンリーワンに
亀屋の一番のこだわりは餡作り。菓子屋は素材を磨き上げるのが仕事と考える舘野さんは、材料を厳選することはもちろん、古い文献を集めて伝統的な技術を理解したうえで、現代の設備に最適な製法を追求します。昔の技術や言い伝えだけに頼らず、常に何が正しいかを自分で考える。伝統的な技術と新しい方法のバランスを取りながら美味しさを磨き続けています。
亀屋の看板商品と言えば、豪徳寺の招き猫にちなんだ「招福もなか」。かつて家族で創業者のお墓がある豪徳寺へお参りに行った思い出を形にしたお菓子なのだと言います。つぶあん、こしあん、白あんの3種を楽しめて、見た目も可愛らしい一品で、世田谷みやげにも認定されています。また、世田谷梅まつりに合わせ考案した梅大福も亀屋の代表作。梅の季節には、1日千個以上を売り上げる人気商品です。「地元にちなんだオンリーワンの商品をこれからも作っていきたい」と舘野さんは意気込みます。
亀屋には地元に長く住む旧家の方々から、新しく経堂に移り住んできたファミリー層まで、幅広いお客様が足を運びます。昔からの商店街と新しいショッピングエリアが共存し、歴史と新しいカルチャーが融合する世田谷の姿は、伝統を守りながら革新を続ける亀屋の姿勢とも重なります。
舘野さんの夢は、亀屋を何代にも渡って利用してもらえるお店にすること。伝統的な和菓子の魅力を守りつつ、新しい形で多くの人々に届けることが、舘野さんの次なる挑戦です。
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