暮らしに溶けこむ街のパン屋「ON Y VA」

暮らしに溶けこむ街のパン屋「ON Y VA」

世田谷区深沢のパンと焼き菓子のお店「ON Y VA」(オニバ)は、20年以上のキャリアを持つパン職人、保住さんがパートナーとともに2022年に開業しました。世田谷区内で育てられたミモザの花酵母を使用し、ゆっくりと発酵した味わい深いパンが自慢です。「パン屋は粉屋」と例えるだけあって、パンの種類によって使う小麦や砂糖など素材にもこだわりが。広い間口で工房まで見渡せる店舗は、近所のお客様がふらっと立ち寄るアットホームな場所。地域に根差したパン屋として、ON Y VAは世田谷深沢に新たな魅力を作り出しています。

 

 

 

オープンで温かなパン作り

 

パンと焼き菓子の店「ON Y VA」は、世田谷区深沢の50年続く商店街に2022年925日オープンしました。店主の保住さんは高校を卒業後、ホテルのベーカリー部門や飲食大手のベーカリー事業で20年以上パン職人として経験を積み、同店ではパン部門の統括シェフとして全店舗のメニュー開発や技術指導を担当。保住さんはON Y VAを開いた理由をこう語ります。「パン屋を開きたいという若い人はたくさんいるけれど、途中で断念してしまう人も多いんです。ずっと勤めで人に教えるような立場でやってきたこともあって、そんな人たちをサポートしたいなと。それでまずは自分でお店を始めてみようと思いました」。

 

ON Y VAの特徴は何と言っても温かな雰囲気。パンのショーケースと厨房が見渡せるオープンな造りで行き交う人を優しく出迎えます。厨房まで見えるような作りにしたのは、近所の子供たちにパン作りを見て楽しんで欲しい、食べ物を大切に思うきっかけになってくれたらという保住さんの思いから。カウンターショーケースはアンティークショップでたまたま見つけた日本箪笥をリメイクしたもの。「設計していたカウンター幅にぴったりで、運命だなって思いましたよ」と保住さんは笑います。取材中も何組かご近所のお客様が来店され、会話が弾みます。お客様に「美味しい」と言われることや、リピーターの方が来店してくれることにやりがいを感じると保住さんはにこやかに語ってくれました。

 

 

 

ゆっくりと発酵するミモザの花酵母

 

ON Y VAのパンには世田谷区内で育てられたミモザの花酵母を使用。この花酵母は東京農業大学の研究室で培養したもので、市販のイーストと比べて時間をかけてゆっくりと発酵し、乳酸菌との働きでうま味や香りを引き出してくれるそう。おまけにグルテンの消化が良くなって、食べても疲れにくいとか。「一度にたくさんは作れないけれど、味わいが美味しいパンになるんですよ」とその効果を詳しく教えてくれました。食パンやチャバタなどの食事パンには風味の良い石臼引きの小麦粉、種子島の粗糖を使用するなど素材にもこだわりが。「パン屋は粉屋でもあるなと思うんです」。食パンは試行錯誤の末に5種類の国産の小麦粉をブレンドし、シンプルでも味わい深くご近所の方にも人気です。

 

お店の通りは50年ほど続く商店街。昔ながらの雰囲気が残っています。後継者不足などにより、店舗は少ないものの、近くの小児科に通う親子連れが「注射を頑張ったからご褒美にパンを買ってあげるね」と言って立ち寄るアットホームな街。「パンは色々な食べものと親和性があるから、地域を盛り上げるのに役立てるのではないかと思って。パン屋があることで他の飲食店も始められる。そんな街づくりをここ深沢で実現できて、そして全国にも展開できたらステキですよね」と夢を語ります。地元の小麦と、地元の花から取った酵母を使って、その土地ならではのオリジナルのパンで地域を盛り上げたい。夢の実現を目指し、保住さんのチャレンジは続きます。

 

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公式Instagram → ON Y VA Instagram 

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