東京農業大学の“実り”を味わう。美味しく健康な食品を届ける農大発ベンチャー「メルカード」

東京農業大学の“実り”を味わう。美味しく健康な食品を届ける農大発ベンチャー「メルカード」

東京農業大学(以下、東京農大)は長い歴史を誇る私立の農業大学。小田急線経堂駅からバスで15分ほどの場所に位置する世田谷キャンパスは、100種類を超える樹木の緑に包まれた環境で、地域の人たちにとっても憩いの場になっています。また、最先端の研究に取り組む学生や、農家や養蜂家として活躍する卒業生たちが集う学園祭「収穫祭」は、毎年多くの来場者で賑わっています。


そんな東京農大で産声を上げた企業、それがスペイン語で「市場」(MERCADO)を意味する「東京農大発 株式会社メルカード」です。2004年に東京農大の教員によって設立され、学生とともに成長してきたメルカードは現在、東京農大が培ってきたネットワークを活用し、最新の研究成果や地域の特色ある農産物を扱っています。



メルカードはオンラインショップに加え、世田谷キャンパスで2023年に竣工した「国際センター」内にある「農大マルシェ」も運営しています。さまざまな方法で農大発の商品を届け、多くの人に愛されているメルカード。会社の成り立ちや人気商品について、メルカードの三浦海翔さんにお話を伺いました。

 

 

農大生がペルーで出会ったスーパーフルーツ「カムカム」

メルカードの設立は約20年前に遡ります。当時の学長の「学生ベンチャーを立ち上げたい」という思いを受け、農大卒業生の商品を販売するオンラインショップ事業がスタートしました。その後、ビジネスとして成長を遂げたのは、現在もメルカードの社長を務める豊原秀和教授が社長に就任してからのこと。豊原教授が研究していたフルーツ「カムカム」が、メルカードの名物商品となったのです。



現在もメルカードの一番人気商品であるカムカムは、地球上で知られる植物の中で最もビタミンCが多く含まれるフルーツ。100g中2,800mgという数字はアセロラの2倍、レモンの60倍ほどと伺い、その数値に驚かされました。「東京農大」の文字が堂々とあしらわれたドリンク缶は、酸味と甘味のバランスが絶妙で、朝食やおやつタイムなど、いつでも楽しめるフルーティな味わい。忙しい日々のビタミン補給や仕事後のリフレッシュにもぴったりです。


東京農大とカムカムの出会いは20年以上前、農大の学生だった鈴木孝幸さんが語学留学でペルーを訪れた時のこと。ペルーのアマゾン川流域にのみ生息していたカムカムは、その当時あまり価値が認められておらず、積極的に栽培されることはありませんでした。しかし鈴木さんはカムカムの可能性を見出し、ビタミンCに特化したフルーツとして品種改良と普及を推進。経済的な事情から、やむを得ず麻薬の原料となるコカを栽培していた現地農家の転作も支え、フェアトレードを推進していきました。



鈴木さんが農大で学んだ「接ぎ木」の技術を駆使して育てられたカムカムはその後、豊原教授が所属する熱帯作物学研究室で商品化されました。大学内でレシピや商品開発を行うと同時に、カムカムを普及するための協会も設立され、多くの人の手に届くようになりました。研究室からメルカードに事業が引き継がれると、カムカムドリンクは名物商品として人気を集め、東京農大の入学式で新入生に配られるほどの定番商品となったのです。


他の農大発ベンチャーと共同開発したサプリメントや、果汁を濃縮した料理用エキスやグミなど、カムカムを活用した商品ラインアップも広がっています。歴史の詰まったスーパーフルーツに、ぜひ一度トライしてみてください。

 

 

思わず迷ってしまいそう!個性豊かな蜂蜜たち

メルカードの運営する「農大マルシェ」には、カムカム以外にもたくさんの加工食品が並んでいます。中でも目を引くのが、他ではあまりお目にかかれない多種多様な蜂蜜たち。かなりの量と種類を取り揃えていますが、収穫祭では一部商品が売り切れてしまうほどの人気なのだとか。東京農大の学生サークル「ミツバチ研究会」とも連携した品揃えは、一見の価値ありです。




 ミツバチが自由に複数の花蜜を集めることから名付けられた「百花」は、季節によって変わる味わいが特徴。優しい甘さで癖がなく、日本最高級品とも呼ばれる「とちの蜂蜜」や、梨やラベンダーの味わいが楽しめる珍しい商品まで扱っています。


これらの蜂蜜を生産しているのも、東京農大で学んだ卒業生たち。中には東京農大のつながりがあるからこそ提供してもらえる、他ではなかなか手に入らない逸品も。卒業生たちの工夫と愛情が込められた蜂蜜には、全種類試してみたくなる魅力がありました。


 

 

畑と市場で、顔の見える付き合いを


 

全国各地に広がる卒業生ネットワークを活用し、現役学生やメルカードのメンバーが自ら農地に足を運ぶことも少なくありません。例えば、農大卒業生が中心となり、千葉県で有機・無農薬農業を行うNPO法人「農と人を拓く学び舎向志朋」が管理する畑では、農薬や化学肥料を使わずに栽培されたさつまいもを収穫し、学生に人気のスイートポテトなどに活用しています。同じく千葉の畑で学生が育てた「えごま」から抽出した油は見た目も美しく、魅力的な仕上がりです。



今回お話を聞かせてくれた三浦さん自身も東京農大の卒業生。柿の甘さと醤油の風味がマッチした、フルーティでまろやかな「八珍柿ドレッシング」は同級生が実家を継いで作ったものだと、嬉しそうに教えてくれました。



400年以上の歴史を持つ「柴海農園」の野菜ジャムやピクルスも人気の商品で、メルカードのSNSでは栄養科学科の学生が考案したアレンジレシピとともに紹介されることも。学生たちの新鮮なアイデアと顔の見える生産者とのつながりが、より身近で温かい存在に感じられます。


農業を幅広く学べる東京農大ですが、マーケティングや販売を実践できる機会はまだそれほど多くないのだとか。現役の学生がメルカードでインターンとして働きながら、卒業生達の思いを聞いて商品を扱う。新旧さまざまな農法や実践的なノウハウなど、座学だけでは学べない「生の体験」が、学生にとっては貴重な学びとなり、利用者にとっても信頼を深めることにつながっています。

 

 

長年の蓄積と最先端の実りを食卓で味わう


世田谷キャンパス内で「農大マルシェ」を始めたことで、通販だけでなく、利用者の生の声も聞こえるようになったと語る三浦さん。毎日のご飯のおともとして、現農大学長の江口文陽教授がヤマブシタケの研究をもとに作った「江口文味噌」に加え、さまざまな瓶詰め食品も扱うようになりました。取り扱う商品の基準を尋ねると「全国各地から選ぶことです。卒業生は各地にいるので、さまざまな地域の食材や味を伝えられれば」という想いを教えてくれました。


メルカードが扱う商品には、カムカムや貴重な蜂蜜などの珍しい商品、日本各地で活躍する卒業生たちがこだわった作物など、東京農大が一世紀以上にわたって培ってきた実りがぎゅっと詰まっています。私たちの日常生活に欠かせない食、そしてその背景にある深い歴史や最先端の研究に触れながら、美味しく健康的な商品を生活に取り入れてみてください。


 

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