世田谷区の西部・宇奈根地区の海老沢農園では、様々な野菜やブドウをご家族で栽培しています。野菜栽培を一手に担っているのが海老沢竜さん。世田谷区農業塾への参加を転機に農業の魅力にのめり込み、今では露地栽培を中心に多彩な野菜作りに奮闘しています。新鮮で味わい深い野菜は地元のファンも多く、多様な品種のナスや旬を感じさせるトウモロコシ、枝豆などどれも格別です。伝統的な農法にくわえて、自身の経験と理論を組み合わせながら、都市部での農業継続を目指して地域コミュニティとの繋がりを模索する。海老沢さんはそんな現代農業の推進者です。
経験と理論に基づいた栽培方針
世田谷区の西部・宇奈根地区で野菜や野菜の苗、ブドウを育てる海老沢農園。ここで野菜栽培をとりまとめているのが今回お話を伺った海老沢竜さん。自宅周辺の3つの野菜畑で采配を振ります。この地に代々続く農家に生まれた以上、農業以外の仕事の選択肢はないと考えていましたが、お父様の「好きなことをやったらいいよ」という後押しもあり、絵の道を目指してデザイン学校に進学。絵で生きていこうと思った時期もありました。しかし、世田谷区農業塾に参加したことをきっかけに、徐々に農業にのめり込んでいきます。塾生で集まって勉強するだけでなく、果菜類や枝豆、根菜類、葉物などそれぞれの野菜作りの名人農家を訪問して栽培技術を学ぶと共に、塾生同士の繋がりができたことが大きな刺激だったと振り返ります。塾に通ううちに畑仕事の頻度が増え、卒業してからは毎日に。そんな30歳の頃に農業に専念することを決めました。
海老沢農園では、屋外での露地栽培を中心に低農薬製法で多種多様な野菜を育てています。スタンダードな農法で鮮度と味のバランスの取れた野菜作りを心がけているそうです。きゅうり、トマト、ナスなどの定番野菜に加え、旬を感じられるトウモロコシや枝豆も人気。ナスは白なす、長なす、米なす、丸なすなど珍しい品種の栽培にも挑戦しています。天候に左右されやすい露地栽培ですが、日々記録している作業内容を基に年間スケジュールを計画することにより、種撒きや収穫は毎年3~4日の範囲内に収まるのだとか。伝統的な農法を守りつつ、経験と理論に基づいて栽培方針をアップデートしている点も、海老沢農園の大きな特徴です。
持続可能な都市農業を目指して
40歳のころ、海老沢さんは喜多見地区の農業公園立上げメンバに抜擢されて農園管理の仕事を経験しました。一から自分で計画を組み立てて遂行する企画・運営の仕事は、それまでに経験したことのない大きなやりがいになったそう。また、収穫体験に来てくれる子供たちの年齢に合わせて野菜を選んで作付けし、地域の方々に喜んでもらえたことで農業の新たな可能性を感じたと語ります。
海老沢さんは長年の経験と喜多見地区の農業公園で学んだ理論によって、安定した品質の野菜を提供し続けています。一方で、この地で畑を継続していくためにも、畑の一部を地域の方々に開放して野菜作りや収穫体験を楽しんでもらうなど、地域と緩やかに結びついた農業を実現したいと語ります。都市部での農業継続が難しくなる中、地域コミュニティと協力して農地を維持していく新しい形を作りたい。海老沢さんの挑戦は続きます。
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